「湯シャンは臭くなる。どうやって対策する?」
お湯でシャンプーする=湯シャンは、皮脂の過剰分泌を抑え、頭皮環境を整えることができます。
湯シャンはフケや乾燥、抜け毛が気になる方におすすめですが、湯シャンの臭いに悩まされる人も多くいます。
お湯だけでは酸化した皮脂や髪の毛に付着した悪臭を簡単には取り除けません。
この記事では、湯シャンの臭いの原因や臭いを抑える方法に絞り解説します。臭い対策しながら湯シャンのメリットを得られるので、ご一読ください。
Yuuki
【コスメ部】の監修者・総責任者。
化粧品会社で11年勤め、化粧品開発とマーケティングを経験し、化粧品成分、薬事法、景品表示法の実務経験を積む。毛髪、皮膚の科学から、化粧品原料データ、消費者データまで化粧品分野において多岐に渡る経験と知見を持っています。
湯シャンをやめる理由は臭い!
湯シャンを臭いが理由で挫折する人が多くいます。お湯だけでは酸化して臭くなった皮脂や、付着した臭い成分が落ちにくいので、臭いが取れません。
臭いが出るかどうかは人によりますが、実際に湯シャンを実践してみないと分からないところが悩ましいです。
湯シャンの印象は「臭い!」
2023年10月23日に500名の女性に、WEBのクラウドアンケートで湯シャンのネガティブなイメージをアンケートしました。複数回答とし、下記1~6の選択肢で回答いただいた際に、髪と頭皮の臭いを懸念する回答数は1位でした。
- 髪と頭皮の臭い: 343回答
- フケやべたつきを心配する: 324回答
- シャンプーによる清潔感が好きだから: 183回答
- トリートメントやヘアオイルが使えなくなるから: 75回答
- 周囲の目を気にする: 68回答
- その他: 31回答
湯シャンは「臭くなる」というネガティブなイメージを持たれていることになります。
湯シャンだけでは髪が臭い5つの理由
湯シャンで髪と頭皮の臭いが臭くなる主な原因は下記の5つです。
- 湯シャンで汚れと皮脂が残る
- 残った皮脂は時間経過で酸化して臭くなる
- 紫外線が皮脂を臭くする
- 料理やヤニ等の付着した臭いが取りきれない
- 香料によるマスキング効果が消える
湯シャンは頭皮のトラブルになる場合もあるので、知識をつけて無理せずチャレンジしましょう。
お湯だけで洗うと汚れや皮脂が残り臭う
湯シャンで落としきれなかった汚れや皮脂が臭いの原因になります。シャンプーに含まれる界面活性剤なら、皮脂や汚れを簡単に落とせます。
湯シャンはお湯のみで洗うので、酸化して臭くなった皮脂や汚れが残ってしまい、臭いが取れません。
皮脂を残すことで頭皮の健康が保たれますが、酸化した皮脂まで頭皮に残ると臭ってしまいます。
皮脂は時間の経過で酸化し臭くなる
皮脂は油分です。油は、空気中の酸素に触れると酸化して臭くなりますが、皮脂も同じく酸化して臭くなります。
皮脂は様々な成分が含まれており、約12~15%含まれるスクワレンという皮脂の成分があります。スクワレンは皮脂の油性成分の中でも酸化しやすい成分です。皮脂が酸化した状態を過酸化脂質と呼びます。
スクワレンは、過酸化反応を起こすとスクワレンモノヒドロペルオキシドという過酸化脂質となり、他の皮脂成分の酸化まで促進します。
紫外線は皮脂を臭くする
酸化は、紫外線を浴びることでも進行します。日頃、紫外線を浴びるライフスタイルの方は、酸化しやすくなるので、臭いに影響が出やすくなります。
更に、酸化した皮脂は、頭皮に細菌により分解されノネナールという臭い成分にもなり、臭いを強くします。
料理やヤニなどの付着した臭いがお湯で落ちない
料理やヤニなどの臭いは、髪の毛に付着します。
髪の毛の表面には多くの穴が開いており、焼肉やたばこなどの臭いの分子は、穴から髪の毛に吸収され定着します。
髪の毛が傷んでいる場合は、より吸着しやすくなります。キューティクルが乱れ、剥がれている部分は「ダメージホール」と呼ばれ、大きく穴が開き、内部のコルテックスが露出した状態になっています。
ダメージホールがある髪の毛は、特に臭いがつきやすく、お湯では臭いが残ってしまいます。
香料のマスキング効果が無い
湯シャンはシャンプーの香料によるマスキング効果に頼ることができないため、髪の臭いを強く感じます。
シャンプーは、汚れや皮脂を落とす以外にも、香料が配合されています。
臭い成分を、香料成分が包み込み、臭いを感じなくさせることを「マスキング効果」と言います。
湯シャンはマスキング効果がないので、髪や頭皮の臭いをより強く感じてしまうかもしれません。
アロマオイルも湯シャンと併用でき、消臭効果の高いユーカリやミントは臭いを抑える効果はありますが、アロマオイルは揮発が早くマスキング効果は一瞬です。
湯シャンで髪が臭くなりやすい方
湯シャンで髪の臭いが残りやすい人は下記の4つのパターンが考えられます。
- 脂性肌の方
- 紫外線を受けやすいライフスタイルの方
- 生活の中で料理やたばこの臭いをよく浴びてしまう方
- 髪の毛のダメージが強い方
脂性肌の方や紫外線を浴びる時間が長い人は、皮脂が過酸化物質になりやすく、べとつきや臭いに悩まされがちになります。
料理やたばこの臭いを常日頃浴びていると、臭いは付着してしまいます。髪の毛のダメージが強い場合は、付着した臭いが落ちづらくなります。
湯シャンを続けると頭皮の臭いは落ち着く
湯シャンを続けると、頭皮の臭いは少しずつ弱くなっていきます。
シャンプーの界面活性剤は皮脂を取り過ぎてしまいます。取り過ぎた皮脂を補うため、毛穴の中の皮脂腺から多めに皮脂が分泌されます。つまり、シャンプーのし過ぎは逆に髪を臭くします。
湯シャンに切り替えても、皮脂の過剰分泌は習慣化されているので、すぐに減りません。湯シャンを続けていくと、分泌は減っていきます。
過剰分泌されている皮脂を、お湯だけで落としている期間は、臭いが際立ちます。
分泌が減らないまま湯シャンを止めてしまうと方も多くいるようです。
臭いは28日~75日程度は続くのが目安
臭いが安定していく時期の目安は、細胞が生まれ変わる周期であるターンオーバーが目安となります。
一般的には28日周期と言われていますが、年代やライフスタイル、健康状態など複雑な要因があり人それぞれに周期があります。
睡眠の質や、運動、食生活、ストレス、肌の乾燥や紫外線を浴びる程度、肌に対する摩擦のかけ具合などで異なってきます。
臭いは皮脂の過剰分泌が主な原因ですが、細胞が生まれ変わると過剰分泌に変化が生まれます。ターンオーバーは人より大きな差があるので、臭い期間も人により大きく差が出てきます。その為、「臭いがどの程度続くか」というのも人それぞれで大きく差がつきます。
ターンオーバーの年代別目安は?
年代ごとのターンオーバーの周期の目安は下記になります。
20代 | 約28日周期 |
30代 | 約40日周期 |
40代 | 約55日周期 |
50代 | 75日周期 |
上記はあくまで年代による目安であり、他の要因が複雑に絡み合い、ターンオーバーが周期が異なっていきます。
皮脂の臭いは完全に無くならない
皮脂の臭いは完全に無くりません。
6カ月、1年と経過すると、徐々に臭いも和らいでいきます。それでも湯シャンは臭いが残ります。
湯シャンを1年以上続けて頭皮環境が改善したのに、湯シャンを止めてしまう人がいるのは、臭いが消えないためです。
臭いが残らない湯シャンの方法
湯シャンによる臭いは軽減することが可能です。ポイントは下記の6つです。
- 湯シャン前にブラシで頭皮と髪の毛の汚れを落とす
- シャワーの温度を38~40℃に設定する
- 5分程度かけて丁寧に洗う
- 頭皮をマッサージしながら洗う
- 吸水性の高いタオルでタオルドライ
- 湯シャン後すぐに乾かす
それぞれ詳しく紹介します。
湯シャン前のブラッシングで酸化した皮脂汚れを落とす
お湯で髪を濡らす前に、軽くブラッシングをして、臭いの原因となっている頭皮や髪の汚れを落としましょう。
湯シャンでは臭いの原因である酸化した皮脂汚れが落としきれない可能性があり、湯シャン前にブラッシングをすることで、お湯で落としやすくなります。
湯シャン前に使うブラシは、先端が丸いピンになっているものか、獣毛ブラシが、皮脂汚れを落としやすいです。
臭い対策のためにも湯シャン前のブラッシングは習慣化するようにしましょう。
シャワーのお湯の温度を38~40℃に設定する
湯シャンの場合はシャワーの温度を38〜40℃に設定するのがおすすめです。
通常は36〜38℃が良いとされていますが、高めの温度で皮脂や汚れを落としやすくなります。
逆に高すぎると頭皮の乾燥に繋がってしまうため、40℃を超える温度でのシャワーは控えましょう。
頭皮を過度な刺激を与えずに臭いを抑えるには、38〜40℃が最適です。
5分程度かけてお湯で丁寧に洗う
湯シャンは、ゆっくり丁寧に洗う必要があります。
シャンプーに含まれる洗浄成分に頼ることができないので、皮脂や汚れを落とすのに時間がかかるためです。
通常の3倍の時間をかけるイメージで湯シャンをしましょう。目安時間は5分程度です。
髪はもちろん頭皮も意識して丁寧に洗いましょう。
頭皮をマッサージしながらお湯で洗う
頭皮をマッサージしながら洗うようにしましょう。
ゴシゴシ擦ると髪と頭皮を傷つけてしまいます。
摩擦で頭皮環境が悪化すると、臭いが発生しやすくなる可能性もあります。
洗う方法として、指の腹でマッサージするように洗いましょう。
髪全体を濡らした後、シャワーヘッドを固定してお湯を浴びながら頭皮マッサージすると効果的です。
臭いの防止以外に、マッサージとお湯による血行促進も期待できます。
吸水性の高いタオルで水分を拭く
吸水性の高いタオルを使うことで、髪の毛に残った汚れもしっかりと吸着してくれます。
吸水性の高いタオルは、同時に吸着力が高いものが多く、お掃除用品に使われているケースもよくあります。
摩擦を極力減らしつつ、頭皮や髪の毛に残った汚れも取り除けくことができます。
吸水性の高いタオルを使い、ドライヤーを使うことで、ドライヤー熱による負担も減るので、臭い対策以外でも、湯シャンにおいて吸水性の高いタオルをおすすめします。
湯シャン後すぐにドライヤーで乾かす
湯シャン後は、すぐドライヤーで髪を乾かしましょう。
濡れたままでは雑菌が発生し、臭いの原因になります。湯シャンだと雑菌が発生しやすいため、配慮が必要です。
ドライヤーを使う際は、髪の毛先だけでなく、根元からしっかりと乾かしましょう。
頭皮の水気を取ると、臭い防止に繋がるでしょう。
湯シャンは洗い方だけでなく、ドライヤーにも気をつけてみてください。
ヘアケアアイテムによる湯シャン臭い対策2選
湯シャンの正しい方法以外では、2つの方法を紹介します。
- トリートメント・ヘアオイルで臭いをマスキング
- シャンプーを併用して臭いを和らげる
この2つの方法は、湯シャンだけにこだわらない方法になります。トリートメントやヘアオイルを活用したり、臭いが気になるときはしっかりとシャンプーするなど、その時の髪と頭皮の状態に合わせて、他のアイテムを使うことで、気になる臭いを軽減することができます。
トリートメント・ヘアオイルで臭いをマスキング
湯シャン後、トリートメントやヘアオイルを使い、臭いをマスキングする方法も悪くはありません。
しかし、トリートメントやヘアオイルに配合されているコンディショニング成分は、湯シャンで落ちにくいので注意が必要です。使うのは少量にしましょう。
使用後は、長時間洗うか、その時だけシャンプーを使いましょう。
コンディショニング成分は油分であることが多く、皮脂と混ざってべとつきやフケの原因になります。
臭い対策にトリートメント・ヘアオイルを使うと、結局、シャンプーの回数は増えていきます。
シャンプーを併用して臭いを和らげる
湯シャンの臭いが気になってしまう場合は、マイルドなシャンプーの併用もおすすめです。
マイルドなシャンプーとは、洗浄力が弱いアミノ酸系の低刺激のシャンプーです。
頭皮に負担をかけずに皮脂や汚れを洗い流すことができます。
特におすすめは「グルタミン系」と言われるアミノ酸です。
代表的な成分名は「ココイルグルタミン酸TEA」です。
ココイルグルタミン酸TEAは、アミノ酸の中でも洗浄力がとてもマイルドで、髪や頭皮に潤いまで与えてくれます。
乾燥肌や敏感肌の方にもおすすめでき、ベビーシャンプーにも多く用いられています。
ほどよい洗浄力で、シャンプーによるダメージも軽減し、汚れを落とし、皮脂を適度に取り除くことが可能です。
まとめ
この記事では湯シャンについて詳しく紹介しました。
湯シャンだけでは皮脂や汚れが残存するため、臭いが発生してしまいます。
シャンプーの香料にも頼れないため、より強く臭い感じてしまうのです。
湯シャンにより少しずつ頭皮環境が整い、皮脂の分泌量が正常に近づ、臭いは減っていくでしょう。
しかし、そこまで耐えられない方がほとんどです。
湯シャンで臭いが気になるなら、洗い方を工夫してみましょう。
時間をかけてマッサージするように洗うことで、皮脂や汚れを落とすことができます。
湯シャン後すぐに髪を乾かすことで、臭いの元となる雑菌の繁殖を防ぐことが可能です。
対策しても、臭いが気になってしまう場合もあります。
そんな時は、シャンプー・トリートメントに戻し、外出をしない日は湯シャンで済ますなどが良いでしょう。
湯シャンをやっている人の頻度も参考になるので、下記記事も併せて読んでみてください。