「朝シャンをするとはげる」という説があります。有名な噂ですが、誰かが流した嘘だと思って聞き流してきた人もいるかもしれません。
実はこの噂、必ずしも嘘とはいえないんです。
今回は、「朝シャンははげる」という噂について、その成り立ちや嘘といえない理由について解説していきます。正しい朝シャンの方法も解説しますので、ぜひご一読ください。
「朝シャンプーするとはげる」というのは本当?
先述したとおり、「朝にシャンプーするとはげる」という噂について、「全面的に間違っている」ということはできません。このように、煮え切らない回答をしているのには2つの理由があります。
朝シャンがはげるのではない
「朝にシャンプーをすること自体がはげる直接的な原因ではない」ということです。問題の本質はもっと細かいところにあります。シャンプーは朝で夜でも変わりません。つまり本質的なことを言うと「朝シャンははげる」という話しは嘘ということになります。
朝シャンプーをやることにより「結果的に頭皮に負担がかかりやすい状況になる」というのが正解です。
シャンプーの間違った習慣がはげの原因に
はげる原因は、シャンプーにおける間違った習慣です。夜にだけシャンプーするときのやり方や考え方を、そのまま朝シャンに持ち込んではいけません。薄毛につながりかねない原因を理解したうえで、朝シャンは朝シャンに適した方法で行っていくことが大切です。
朝シャンがはげる原因とデメリットは?
「はげる朝シャン」を避けるためには、まず本質的な原因やデメリットを理解しておく必要があります。
朝シャンが薄毛を招くといわれている理由は以下の3つです。
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それぞれくわしく解説していきます。
紫外線から守る皮脂を過剰に落としてしまう
皮脂は頭皮を外的な刺激から守る役割を持っています。臭いやべとつきがあるので、汚れのように思える皮脂。汚なく思えるのは、分泌されすぎて髪の毛と頭皮に過剰に蓄積し、酸化してしまった皮脂のことです。
皮脂は髪の毛や頭皮にとってとても大切であり、頭皮の皮膚の表面を守るという大事な役割を担っているのです。
紫外線の侵入を防いだり、水分の蒸発を防いだり、細菌の増殖を抑える働きがあります。頭皮の免疫を高める働きを持つ常在菌も皮脂をエサにして棲みついています。健やかな頭皮にはなくてはならない存在だといえるでしょう。
しかし、シャンプーにより皮脂は落ちます。一旦落とすと皮脂が戻るまでには24時間程度かかります。日中の紫外線から守る皮脂が不足してしまします。これがバリア機能を弱らせ、頭皮に負担をかける原因になります。
1日2回のシャンプーで髪と頭皮が傷む
朝シャンをしていて、夜にもシャンプーをしているという方は注意が必要です。
1日に2回のシャンプーは、摩擦やシャンプー剤に含まれる物質、皮脂の過剰な洗い流しによって頭皮や髪の毛にダメージを与えてしまう可能性があります。
摩擦と界面活性剤で髪に負担
朝も夜もシャンプーをするという場合、頭皮や髪の毛が受ける摩擦のダメージは普段よりも大きくなってしまうでしょう。洗えば洗うほど清潔になることは期待できますが、そのぶん負担がかかることは避けられません。
また、シャンプー剤に含まれる界面活性剤によるダメージも無視できません。界面活性剤は、水や油といった、まじりあわない物質が接する界面に作用して性質を変える働きがあります。シャンプーにおいては、洗浄力やすすぎやすさ、なめらかさなどを高める効果が期待できます。一方で、髪や頭皮に負担をかけるため、過剰な使用はデメリットも少なくないのです。
皮脂が過剰分泌される
1日に2回のシャンプーによって頭皮の皮脂を必要以上に落としてしまった場合、足りていない油分を補おうと、身体が皮脂を過剰に分泌してしまう可能性があります。
必要以上の皮脂はべとつきやニオイを引き起こすうえ、雑菌の繁殖も招きかねません。炎症によってかゆみが引き起こされれば、日常生活にも支障をきたすでしょう。頭皮環境が悪化すればするほど、薄毛にもつながりやすくなります。
夜シャンプーしないと寝てる間に皮脂が毛穴に詰まる
「1日に2回のシャンプーがダメなら朝シャンだけにしよう」と考える方もいるかもしれません。もちろん1日におけるシャンプーの回数は同じですが、夜にシャンプーをしない場合は毛穴が詰まってしまうリスクがあります。
頭皮の皮脂は、昼夜関係なく分泌され続けます。そのため夜にシャンプーをしない場合、日中に分泌されたものを落とせないまま、夜も皮脂が蓄積されていくことになります。また、日中に活動したことで、頭皮にはホコリなどの汚れも付着しているでしょう。
汚れとともに溜まっていく皮脂を寝ている間も放置した場合、溜まりすぎた皮脂を処理できず、毛穴が詰まってしまう可能性があるのです。
朝シャンしないと髪がべとつくのはなぜ?
朝シャンが好きな方のなかには、べとついた髪の毛をすっきりさせて1日をスタートできることに魅力を感じている方も少なくないでしょう。
髪がべとつく原因には、皮脂やホルモンバランスの乱れ、生活習慣の乱れ、間違ったヘアケアなどが挙げられます。
なかでも皮脂が原因になっているケースは多く、もともと過剰に分泌される体質である場合や、皮脂の落としすぎや乾燥によって皮脂が過剰に分泌されている場合などがあります。また、すすぎ残しや体質に合わないヘアケアも、べとつきを増幅させてしまう可能性があるのです。
頭皮の状態が悪いと雑菌も繁殖しやすいことから、朝シャンにリスクがある一方、起きたそばから髪の毛がべとついている状況もあまり好ましくありません。
はげたくないけど朝シャンを続けたい人の朝シャン法
朝シャンのリスクを解説しましたが、それでも「朝シャンから1日をスタートさせたい」という方は一定数いるはずです。また「夜にシャンプーをしても起きたら髪の毛がべとついている」という方は、朝シャンとべとつきのリスクのどちらを取るのか選択を迫られるでしょう。
シャンプーを朝シャンのみにするのはおすすめできませんが、朝シャン自体は期待できるメリットも多く、絶対にやめたほうがいいというわけではありません。
さらにはやり方を工夫することで、朝シャンが頭皮や髪の毛にかける負担は減らすことができます。どうしても朝シャンがしたいという場合、最低限、次の3つを意識するようにしましょう。
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朝シャンは「いかにやさしくできるか」が重要です。
朝は湯シャンにする
前日にしっかりとシャンプーを使ってシャンプーしているのであれば、朝シャンを湯シャンにしてもいいでしょう。
湯シャンとは、お湯のみでシャンプーをすること。シャンプー剤を使わないので、表面の汗や汚れを適度に落としつつ、頭皮や髪の毛への負担を小さくすることが可能です。
お湯が熱すぎると頭皮の乾燥につながる可能性があるので、温度はぬるめを意識してください。
アミノ酸・弱酸性のシャンプーを使用する
アミノ酸系や弱酸性のシャンプーは洗浄力がそれほど強くなく、比較的髪の毛や肌に優しいシャンプーとして知られています。洗浄力の強いアルコール系や石けん系のシャンプーを使う場合に比べて、頭皮や髪の毛への負担を軽減させることができるでしょう。
湯シャンが体質にあわない場合や「どうしてもシャンプーを使いたい」という場合は、これらのようなダメージの少ないシャンプーを使用する方法もあります。
少量のシャンプーで短時間にしてよくすすぐ
推奨はできませんが、香りや体質、使い勝手などの理由でどうしても、洗浄力の強いシャンプーを朝シャンに使いたいという方もいるかもしれません。
いつも通り洗浄力の強いシャンプーを朝シャンにも使用する場合、頭皮や髪への負担を減らすため、使う量は少量にしましょう。また、洗う時間もいつもより短くするのがおすすめです。洗ったあとはよくすすいで、頭皮にシャンプーが残ることのないようにしましょう。
まとめ:「朝シャンではげる」は必ずしも嘘ではない!
シャンプーや摩擦、皮脂などの影響によって、朝シャンは頭皮や髪の毛に負担をかけてしまいます。それによって頭皮環境が悪化して、結果的に薄毛につながる可能性があるのです。つまり「朝シャンではげる」という話は、必ずしも嘘とはいえないことになります。
まずは、朝シャンのメリットとデメリットを十分に理解することが大切です。そのうえで、朝シャンを続けるのかやめるのか、続ける場合はどんな方法で続けるのか、優先したい事項をあらためて整理しつつ、向きあっていくことが望ましいでしょう。